読書生活 with TOKYO Smart Life

ビジネス本を中心に、読んだ本の感想とちょっとした要約をブログ形式でご紹介

サブスクリプションの基本「ストックビジネス」参入バイブル

 

中小企業の「ストックビジネス」参入バイブル

中小企業の「ストックビジネス」参入バイブル

 

 

【読むと得られること】外販可能な自社ノウハウの洗い出しと取るべき行動の指針がつかめる

【読むべき人】安定的に稼げる新規事業を立ち上げたい

 

疲弊していく従来型ビジネスモデル

私が以前の部署で担当していた情報機器代理店。複合機がメインの商材でしたが、製品はコモディティ化し、機能も価格も似たり寄ったり。期末になると営業マン達は既存の担当顧客をまわり、毎月のリース料を下げ、カウンター料金(コピー1枚あたりの単価)を下げ、頭を下げて売り歩きます。こりゃ業界的にも精神的にも消耗戦だなと日々感じていました。物の販売代理店とは、メーカーから仕入れてそれを売らないと売上が上がらない、典型的なフロービジネスだと思います。

一方でストックビジネスとは、ある資産やサービスを元に細く長く売上をあげ、それを積み上げて毎月のキャッシュフローを安定させるビジネスモデルといえます。小口分散投資のイメージでしょうか。不動産からの家賃収入が典型ですね。

 

中小企業がストックビジネスを確立するには

本書では、連続増収増益を続けている企業がストックビジネスを生業としていることから、リーマンショックなどの市場環境の急変にも強いビジネスモデルであることを説いています。では、具体的に中小企業がどのようにしてストックビジネスを立ち上げるのか。それをどうマネジメントしていくのか。一応教科書的に解説してありますが、もう少し具体例があれば親切かなと思いました。例えば、「不動産売買していたものを、賃貸にしてストックビジネスにしていけば良い」という部分。理論的にはそうなんでしょうけど、キャッシュフロー的には厳しいのは目に見えています。実際にすぐのビジネスモデルの転換は難しいでしょう。

サブスクリプションモデルは継続的なサービス提供が向いている形態なので、継続的に外販できる体系的なノウハウやサービスがあれば適しているんでしょうね。ホームページ運営、保守管理が典型でSNSの運営なんかも定額で提供できそうなサービスだと思います。当然、手間ひまのコスト人件費が定額料で賄えるか、解約率を何パーセントに設定して、何人の会員を獲得するのが損益分岐点か、これが最大のノウハウのような気がします。

さらっと書かれていたおもしろいだったのが、オリジナルサプリメントOEMで作って、自社サイトで継続購入の顧客を増やしてストック化していくというビジネス。調べてみると、サプリメントOEM製造委託は結構簡単にできるみたいです。しっかりとニッチなニーズを取り込んだサプリメントを作れば、十分に可能性のあるビジネスモデルだと思いました。

 

私が関わる金融業はストックビジネスなので、資産残高を積み上げていって、そこから発生する金利で食っているわけです。一方で小売店、卸会社は常に売り買いを流していかないと利益を生まないので、少しでも歯車が狂うと企業としてのバランスを崩しやすいという点で安定感に欠けるといえます。

このような各社のビジネスモデルや利益構造を考える機会として読むと、自社の仕事を見つめ直すきっかけとなるでしょう。ストックビジネス確立の重要性と、サブスクリプションモデルに参入する足掛かりとして読みやすい一冊です。

★★★★☆ 85点