「東大読書」で講師兼生徒をひとりでやってみた
【読むと得られること】能動的な読書法が身に付く
【読むべき人】読んだことが身に付いているかどうか不安な人
読者ではなく、記者になる能動的な読書
読書術というのは私が好きなテーマの本です。読書術の本を読むたびに、なるほど!という感触を得つつ、いつのまにか流し読みのようないつもの読書に戻ることを繰り返しています。これもまた真なりであり、読書は筋トレと同じで、一度読んで身につく方法論はその場限りのテクニックに過ぎないのかもしれません。
本書にも読書の効果を高める具体的な手法が紹介されています。それぞれの手法に対する理由付けがしっかりしていて、さすが東大生と思わせる構成。
特に意識面で有効だと思ったのは、能動的な読書という点です。本を読むというのは本来能動的な行為ですが、実体は文字を目で追って読んでいても、意識を通り抜けて読んだ気になっているケースが多いように思います。
能動的な読書の具体的な手法として、本との議論が挙げられています。これはセルフレクチャーともいえますが、この本を教科書として、講師と生徒をひとり二役やる方法です。メモを取らずに読書するのは、手ぶらで授業を受けるようなもの。
例えば明日この本をテーマにプレゼンをしてください、時間は30分です、と言われたら。多くの人はその本をひと通り読んだ上で、要点をまとめて他人にレクチャーするでしょう。当然受講生からの質疑応答もあり、それに備えて自分なりの答えを持っておく必要がありますよね。
それをイメージして一度試しにやってみると、要点を拾うとなると思ったより時間がかかるし、論理性のある説明をするためのまとめをしようとすると頭を使うので結構疲れます。感覚的には読書ではなく、読取、読習と思ったほうが近いです。
タイトルに東大が付くとついつい手に取ってしまうほど、私のなかで東大の権威は絶大です。やっていることは特殊ではないにしろ、やはり目の付け所が凡人とは違いますね。自分なりの体系的なルールを確立していくのが東大生というカテゴリーになれる人なんだと思います。
ノートや付箋を片手に、今すぐ始められる東大読書。特にビジネス書好きにはぜひ読んでもらいたい一冊です。
★★★★☆ 82点