読書生活 with TOKYO Smart Life

ビジネス本を中心に、読んだ本の感想とちょっとした要約をブログ形式でご紹介

「つまらない」がなくなる本 本来の自分を生きるということ

 

「つまらない」がなくなる本

「つまらない」がなくなる本

  • 作者:鶴田豊和
  • 発売日: 2016/05/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

読んだら得られるもの
つまらないことや退屈なことへの新たな向き合きあい方

つまらない時間の活かし方
何もしないでボッーとする 脳を休める時間にする

 

 

なぜ三浦春馬は旅立ったのか


同世代の俳優の中でも個人的に三浦春馬くんは好きな俳優だった。誰が見ても好青年。おごることなく俳優という仕事に向き合う彼の姿は、多くの人に勇気と感動を与えたはずだ。それだけに彼の死はとてもショッキングな出来事だった。

報道では「端正なルックス、役者としての地位を確立し、これから期待される俳優だった」と紹介されている。多くの友人や俳優仲間に恵まれ、忙しいながらも順風満帆だと思っていた。昨日まで普通に仕事をしていて、テレビを通して観ていた人が突然いなくなるということが起こり得るんだという現実を、改めて突き付けられた一件であった。遺書はあるものの、真相は闇の中、本人にしかわからない死生観や葛藤があったとしか我々は言えない。


三浦春馬くんの死に対する疑問と、今回「つまらないがなくなる本」を読んで考えたことが、人生における普遍的な問いに対するヒントを与えてくれたような気がしたので、ここに書き留めておきたい。

 

活動中毒から脱出する


コロナによって”強制ステイホーム”を経験し、多くの人が「退屈な時間」「何もすることが無い時間」というものに向き合ったと思う。それぞれが自宅で運動をしたり、ゲームをしたり、リモート飲み会をしたり、工夫をして家での過ごし方と向き合った。私はこの”強制ステイホーム”という経験が多くの人の時間に対する思考を少し変えたのではないかと思う。そして、我々がどれだけ”活動中毒”に陥っていたかを思い知らされた。休みがあればショッピングに行き、レジャーに繰り出し、旅行を計画する。家に居るのは損だという価値観のなか、予定がないことへの不安を打ち消すようにスケジュール表を埋めていた。コロナが我々にもたらした「新しい生活様式」の功罪を挙げるとするならば、感染症対策の他に、活動中毒に対するアンチテーゼが含まれているのではないかと考えるようになった。


”強制ステイホーム”は多くの人がこれまでも薄々気付いていた、活動によって得られる一時的な刺激や興奮、癒しを消費する生活の行きつく先に、一体何があるのかという疑問に向き合う時間になったのではないかと思う。我々はそろそろ活動中毒という価値観を見直す時期に来ているのかもしれない。

 

すべてを手に入れた、その先にあるもの


本書の一例で紹介された女性は仕事で地位を確立し、最良のパートナーに巡り合い、楽しい友人に囲まれ、一生食いっぱぐれのない大きな資産を手に入れた。

しかし、それでも幸せは感じなかった。

地位も名誉も名声も金も手に入れ、友人や家族に囲まれた生活。あるときそこ地点に行き着いた人は、その先に何を見出すのだろうか。
これは人類がこれまでも向き合ってきた普遍的なテーマだと思う。どこへ到達すれば幸せで、何を目指して生きればよいのか。これは人によって様々で、当然画一的な答えはない。
しかし、本書では大きなヒントを与えてくれた。それは「意味のある人生」か「意味のない人生」によって幸せへの感度は変わってくるのではないかということだ。本書で定義する意味のある人生とは「本来の自分を生きること」とされている。

つまり意味のない人生、本来の自分を生きていない人生は、物質的に豊かであっても、精神的に貧しい、満たされない人生を歩んでいるのではないか、それこそ死んでしまいたいぐらい人生に意味を見出せない日々なのではないかと想像した。

さらに本書では「人生に意味を見出さない」と説いている。人生の意味について自分自身に問いかけ続ける行為は、知らず知らずのうちに自分自身を蝕んでいることに気付くべきなのかもしれない。
そして、「本来の自分を生きる」「人生に意味を見出さない」というキーワードと「三浦春馬の死」が勝手ながら自分の中でリンクした。

 

役者という仕事が、三浦春馬を追い込んでいた


役者という仕事は、他人を演じることが仕事だと私は思っている。三浦春馬はストイックなまでに役柄に向き合い、役作りに多くの時間を費やしてきた人生だったのではないかと想像する。幼少期から子役として活動し、周囲の大人たちの期待に応えるべく、必死に役を演じてきたのだと思う。そんな生活を続ける中で、彼は本来の自分を見失ってしまったのではないだろうか。私は、役者という誰かを演じる特異な才能を持った三浦春馬という人物の人生は、大いに意味のある人生だったと思う。ただ、もしかしたら本人の中には、ずっと他人を演じ続ける行為が、本来の自分を失っていくような感覚を覚えていたのかもしれない。


答えのない問いを自分自身の中でグルグルと巡らせるのは、脳のキャパシティを奪っていると考えるべきかもしれない。それよりも、本来の自分は何がやりたくて、自分自身という存在自体を肯定できるような思考を持つことが、生きるうえでの根底となるエネルギーになるはずだ。


私たちは、自分の人生に意味などを追い求めず、自分を強く肯定できる時間を増やすことが「本当の自分を生きる人生」といえるのかもしれない。

 

迷ったときは、ハートの声を聴く


これはライフネット生命の出口さんもある著書でこう表現していた。「迷ったときは直感に頼る」。本書ではこれを「ハートの声を聴く」と表現している。私が考えるハートの声は、本来の自分が発してる嘘偽りないメッセージだと思う。多くの人は大人になると、自分の素直な気持ちに蓋をしながら生きている。そうやって過ごしているうちに、向き合っていた自分の気持ちやハートの声を聴くことすら忘れてしまっていることが多い。今まで仕事にプライベートに、忙しく日々を過ごしてきた人は、ステイホームの期間や夏休みの空いた時間に「ハートの声を聴く」時間を設けてみてはどうだろうか。

 

何もしない15分間で脳を再起動


本書ではこの「何もしない15分」のプログラムが脳の再起動と理由なき幸せ(Happy for No Reason)へ至るに重要だと説いている。よく考えれば普段の生活のなかで何もしない15分は意外と存在しない。スマホを触らず、眠らず、積極的に考え事もしない、ただただ息をして15分過ごす。普段こんなことをしないだけに、何もしないという行為(矛盾する言葉だが)は難しい課題であることに気付く。ある意味の非日常をによって脳がクリアになって、心の空間が広がるような感覚をぜひ体験してほしい。

 

総評


BOOK OFFでこの本を手に取ったきっかけは、単純に自宅で過ごす時間が増えて、つまらない時間が増えたなという感覚を解消できればという程度だったが、思いがけず三浦春馬くんに一件とシンクロしてしまった。そこから「人生の充実」という普遍的なテーマに対して、肯定的な考えのヒントを得られたと思う。たまたま手に取った本からこういう気付きが得られると、やっぱり乱読がやめられない。とても価値のある一冊だった。

ブチ抜く力 与沢翼 様々な課題に向き合うエッセンス本

 

ブチ抜く力 (扶桑社BOOKS)

ブチ抜く力 (扶桑社BOOKS)

 

 

2014年ごろ、「ネオヒルズ族」として世間からもてはやされた小太りの男、「与沢翼」。美女を侍らせ、ギラギラした若者たちでパーティーに興じる典型的な成金の象徴を”演じて”いた男。その後、彼の経営していた「フリーエージェントスタイル」というなんとも胡散臭い社名の会社は、法人税の未納により解散した。与沢翼について知っている情報はその程度だったが、最近になってドバイを拠点に個人投資家として復活していることをテレビで知った。やはり彼はただの成金ではなかったのだという事実から、彼の生き様に興味を持った。

人の失敗談はとても興味深い。失敗から得たその人の「マイルール」は非常に説得力があるし、汎用性の高い気づきが多い。

本書は過去の失敗について多くは語られていないが、それをバネにドバイでの生活で大きな資産を築いた与沢氏なりの基本原則を、とても分かりやすく紹介している。

私なりに感じたことを以下にまとめたい。

 

【得られるもの】突き抜けるための思考法

【読むべき人】飽き性でいまいち物事が続かない。突き抜けた結果が得られない。

 

 

自分の幸せは「お金」の上に成り立っている事実を認めよ

この事実は多くの人が何となく認識しているものの、なかなか面と向かって認められない事実だ。「幸せはお金じゃない」「お金がなくても幸せに暮らせる」と言えればなんとなくかっこいい。「お金があれば幸せになれるなんて、成金の戯言」だと妬みを込めて言いたくなるものだが、私は与沢氏の考えに賛成だ。やはり我々の多くの「幸せ」はお金で成り立っている。少なくとも最低限の生活とその中の小さな娯楽や幸せの元手は「お金」であることは事実だ。そしてその総量が大きいと、いわゆる一般的なサラリーマンでは経験できないような体験や生活があることは確かだ。この歳(30代半ば)になってようやくわかってきたが、ブランド品や高級品、いわゆる値段が高いものにはやはりそれなりの理由がある。それを体験・経験するかしないかの違いは、人生における幅や深みという点で差は大きいと考える。少なくとも私個人としては、お金の総量は多いに越したことが無いという点で、与沢氏のこの考えに大きく賛成だ。

 

センターピンを掴む 物事に本質を捉える

私が考える本当に頭がいい人は、物事の本質を早く的確に捉えられる人だと思う。そういう人が集まる組織は意思決定に無駄な忖度や蛇足がなく、スピーディに動ける集団になるはずだ。ただし、組織の意思決定は本質的に正しい(確度が高い)ことに収れんするとは限らない。それぞれ立場の違いによって重視するものが違うし、上からの評価を気にするあまり忖度に忖度を重ねた、何が言いたいのかわからない結論を導き出したりする組織を私自身多く見てきた。

組織の意思決定は別として、個人として何かを決断する、本質を捉える(=センターピンを掴む)というプロセスを与沢氏はしっかりと体系化していて、再現性のあるパターンとして持っている。ここだけでも非常に価値のある章である。

 

勝負はチャンスが訪れる前から始まっている

「流れ星に願い事を3回言えれば叶う」という迷信。これの本当の意味は「コンマ何秒の一瞬で3回も夢を語れるぐらい、自分に夢の存在が染みついているか」を例えた話だそうだ。

与沢氏の「勝負はチャンスが訪れる前から始まっている」という一文はまさにその通りだ。「こういう状況はチャンス」であって「チャンスの状況にはこういう行動をする」というシミュレーションを常日頃持っていれば、いつくるかわからない一瞬のチャンスも掴める確率は格段に高くなる。

私は「投資」をテーマにした情報を読むのが好きで、最近はプライベートバンカーや与沢氏のような個人投資家の思考法に関する本をよく読んでいる。どれほど優秀なファンドマネージャーであっても勝ち続けることはなく、当然に負けも経験している。凡人との違いは、失敗の本質を捉えて「やらないこと」を決め、勝率を上げることを日々積み重ねている。誰しも自分の失敗には向き合いたくないものだが、ただの失敗として忘れてしまうのは非常にもったいないことだと気づかされた。

自由に使える10億円があれば、どう使うか?

もうひとつ思考の幅を広げるテーマ。自由に使える10億円があれば、どう使うか?」金額は100億円でも1000億円でも良い。これは自身の資産のポートフォリオを常に考えているか否かを問われているテーマだ。また、どうすれば資産を守りながら増やせるかという投資のセンスを磨くのに優れたお題だと思う。私は投資はその人の人柄、「センス」が出るテーマだと思う。アグレッシブな人ほどアクティブ投資をするし、堅実な人は伝統的な投資商品を好む傾向がある気がする。大きな金額を動かす妄想はとても楽しいし、ただの妄想で終わらせない数字的な論理、根拠を積み上げれば、これは立派な「チャンスへの準備」になるはずだ。

 

投資とは大衆が後から評価するものを先回りするゲーム

多くの人がまだ知らないバンドや漫画、自分しか知らないような名作・名店を見つけたときの優越感。投資とはそんな「隠れた名作」に昼飯を賭けるようなものなのかもしれない。ただし1000円や2000円ではなく、何万円、何百万円を、ギャンブル的にではなくしっかりとした根拠をもってベット(投資)する。それが当たれば大きなリターンが得られるし、外れれば投資金を失うかもしれない。しかし投資はカジノのように赤か黒か、半か丁かの確率を賭けるゲームではない。投資先の情報を分析して、タイミングを計って投資して、ルールを決めてEXIT(利確)する。

与沢氏の例えは、まだ投資を経験していない人に対して投資の本質を伝えるうえでとても分かりやすい一文だと感じた。

 

情報収集も3週間。「ひとり突っ込み」繰り返し、センターピンを捉える

新しいことを始めるときにはまず情報収集をすることが多いが、それについて体系化している人は少ないのではないだろうか。期限やスケジュールを決めて短期間で調べつくして一気に「セミプロ」の領域までもっていく。この方法は非常に納得できる。資格の勉強をしているときなんか最たるものだが、自分が徐々に知識を付けてステップアップして、最終的に資格という公的な称号を得る。この過程は非常にエキサイティングで面白い時間だ。ひとつの問題は、それが自分がそのテーマに興味を持ててモチベーションが保てるかどうか。とくに答えのないテーマを取り扱う際は、短期間で一気に吸収して、自分で自分の意見に突っ込みを入れながらブラッシュアップしていくプロセスは、ぜひ実践していきたい勉強の基本姿勢だと思った。

 

途中、与沢氏が-22㎏のダイエットに関する彼なりのノウハウもあったが、今回は割愛する。

 

いずれにしても、投資に限らず日常の様々な課題やテーマに向き合う際の自分なりの「スタンス」のパターンとして与沢氏の思考は非常に参考になると思う。

個人的には本の表紙に与沢氏が前面に出ているのは如何かと思うが、これも彼なりの「ブチ抜き」の一環なのかもしれない。総評としては「オススメ」です。

★★★★★ 95点

なぜかうまくいく人のすごい無意識 本当の自分として生きる目的を判断基準とする

 

なぜかうまくいく人のすごい無意識

なぜかうまくいく人のすごい無意識

  • 作者:梯谷幸司
  • 発売日: 2018/10/20
  • メディア: 単行本
 

 

コンビニの雑誌売り場や書籍売り場には意外と良書が潜んでいる。
本書もローソンの書籍売り場で出合った。ただしその場で買わず、メルカリでポチったことを付け加えておきたい。
読了した結論から申し上げると「久々に気付きの多い良書」だった。

私は学生時代に須藤元気さんの著書を愛読していた。「偶然」「シンクロ」「無意識」を少しスピリチュアルチックに、エッセイ風に教えてくれたのは須藤元気だ。
言葉も思考も、何事もポジティブに。これによって確かに物事がうまくいく場面は多かった。ただし、それについて説得力のある説明をできなかった。経験則で「ポジティブシンキング」を実践していたのだが、それを本書が裏付けしてくれたといえる。
これを手に取ったのも、須藤元気風に言えば偶然ではなく「シンクロニシティ」のひとつ。必然だったのだと思う。
各頁で印象に残った箇所を一部ご紹介したい。

 

無意識の判断基準「メタ無意識」


何かを判断・決断する時に、それを後押しするものは「自信」だと思う。そしてその自信の背景には、物事を自分で決めたという「自己決定感」と、行動を起こして目的を達成できたという「自己有能感」の積み上げが自信の大きさ、強さにつながる。つまり、周りの意見によって物事の判断をしてきた人は「自己決定感」が薄く、おそらくその判断に責任を持てない。私の知る限り、大企業の要職に就く人に限って意外とこういう人が多い。しっかりと自分の中の「こうしたい」という自分の意志に目を向けていない人がとても多いといえる。

 

自分の正しさの証明に興味はない


低所得層、中所得層ほど自分の正しさを証明するために誰かを悪者にする。これは自分自身にも覚えがあって耳が痛い。高所得者ほど自分の正しさの証明に興味がないというのだ。もちろん自信満々な人ばかりではないと思うが、自分の決めたことに責任を持って全うする人が多いからこそ高所得を得ているという帰結なのかもしれない。自分の判断の正しさを世間にしてもらうのではなく、自分自身がそれを証明することがアッパー層の思考なのだ。

 

本当の自分として生きる目的を判断基準にするのか、世の中のルールで判断するのか


これは前述にも通じるところがあるかもしれないが、ありたい自分に向かい合って、本当の自分に向かって物事を判断することができているだろうかと自問自答した。私自身に置き換えても、世の中のルールで判断していることがとても多い。大半のことはマジョリティの判断がおおむね正しいのだと思う。

ただし、その判断に至るまでに本当の自分と向き合っただろうか。そのうえで世間のマジョリティに収まったのなら良しとしよう。この言葉に触れ今後の課題として意識したことは、本当の自分として生きる目的を明確にして、それに向き合う機会を多くしていく必要があるということだ。

 

無意識のクセを知る


人それぞれの持つ無意識に目を向けるのはとても難しい。本書では無意識のパターンを14種に分けて、それぞれの長所短所を解説して場面ごとの使い分けや自分の傾向を診断するきっかけを与えてくれる。わかりやすい場面で言えば就職活動の適性検査などで、「考える前に行動」派か「よく考えてから行動」派を答える設問がある。

これはどちらが正解ということではなく、業種・職種によって適性を見極めるツールの一種なのだと思う。自分なりの分類では、攻めの職種といえる営業や企画は「考える前に行動」派がマッチして、守りの職種といえる管理系や公務員、インフラ従事(鉄道、航空、電気ガスなど)は前例やマニュアルに従った「よく考えて行動」派が適正ということだ。無意識のクセやパターンを知って、自分の思考の傾向を見返してみると面白いと思う。

 

徹底的に自分基準で考える


このワードだけを捉えると自己中心的な判断ばかりしてしまう人と勘違いしてしまいそうだが、そんなことはない。日本人は自分の気持ちや欲求を抑えすぎどころか、その気持ちに向き合うことをしなさすぎなのではないだろうか。世の中に飛び交う情報や出来事を自分事に当てはめて、自分の気持ちに触れさせる機会を増やさないと、自分のことすら自分で決められない大人がどんどん増えてしまう。若いころに大きな希望や青臭い夢を抱いていたように、いくつになっても自分の中にある本当の自分に向き合うことが「徹底的に自分基準」に繋がってくるはずだ。

 

あなたにとって幸福な状態とは?


脳は具体的なゴールがなければ混乱してしまう。「幸せ」「幸福」という抽象的な言葉だけでは、脳は幸せを認識できずに幸せになれない。答えのない問題を解き続けるような日々に区切りをつけるには、自分で答えを作る必要があるという、とてもシンプルな論理に対して我々は意外と向き合っていない。自分なりの幸せの定義を具体的なイメージとして(Google画像検索やPinterest検索で探しました)たくさんストックして、そこに自分がいるところが「幸せ」なのだとという答えを、脳に持たせてあげたいと思った。

自宅にこもりがちな今こそ、この状況が明けたときに実現したい「幸せ」を再定義してみてはどうでしょうか。


私は平日も休日も、妻と毎日過ごす何気ない日々が幸せであることに改めて気づきました。

★★★★★ 98点

 

1分で話せ 結局相手を動かしてなんぼ

 

 

【読むべき人】伝えたいことをがうまく伝わらない

【読むと得られること】無駄な情報を削ぎ落とし、印象に残るような情報の伝え方の意識

【本書のキーワード】

  • 相手が動くために、できることをすべてやる
  • 意味が繋がればロジカル
  • 理解、賛成、あと一歩は?
  • 正しさだけでは人は動かない
  • 頭の中に生まれたイメージ、自分に当てはめて考えるようになるかどうか
  • 伝えたいことを一言キーワードで表す

 

理解してもらうはゴールにならない、結局動かしてなんぼ

会議や商談において、うまく話すことや突拍子もない質問に対応するための準備にばかり時間を割いてしまうことには身に覚えがあります。つたないしゃべりでも、伝えるべき情報やキーワードを相手に印象付け、相手に行動を起こしてもらうことが本質的な目的であるはずですね。本書は相手に行動を起こしてもらうための具体策を示しながら、そのような目的の履き違えを正す機会を与えてくれそうです。

ただしやることや意識することはシンプルで、「相手が動くために、できることをすべてやる」だけです。これが当たり前とわかりながら意外にできていないんじゃないかと思います。事前の根回しやプレゼン、商談後のアフターフォローなどは決して失礼でもルール違反でもないのに、思ったほどできてない。それはきっと相手に起こしほしい具体的なイメージができてないからなんでしょうね。これは仕事の場に限らず、プライベートでも家族や友人、恋人に頼みごとをするときにも使えると思いました。相手にこうしてほしいという事柄だけではなく、その目的を達成するための行動もイメージして示してあげる必要があることを、本書を通じて気付きました。

 

あと一歩の背中を押すもの

賃貸に住み続けるよりマンションを買えばいずれ自分の資産になる。いま目の前に希望の条件に合った物件がある。でももっといい条件の物件があるかも、価値が下がるかも、単純にローンを組むのに勇気がいる。良いのはわかっているけど、あと一歩、あと一押しがあればなぁ。大きな決断ほど、デメリットがちらついて決めきれないのが人というもの。人は正しいとわかっただけでは行動しない、面倒くさい生き物のようです。

本書では最後のあと一押しは「自分に当てはめて、頭の中に理想的なイメージが湧くかどうか」に掛かっているということです。やはり最後に訴えかけるのは人の感情ということなのでしょうか。

そのキーワードは「想像してみてください」というセリフ。たしかにそう言われると自分なりの前向きなイメージを頭の中に思い浮かべるでしょう。

短歌や川柳に文字制限がありつつ情景を豊かに表現できるのは、無駄を極力削ぎ落とし、言葉にリズムがあるからだと思います。CMや広告のキャッチコピーが印象に残るように、プレゼンや商談で最も印象付けたい言葉が、自分が最も伝えたいキーワードになるよう構成を作る。これは著者が最も伝えたかったことだと私は理解しました。ビジネスでもプライベートでも使える、気づきの多い一冊でした。

★★★★★ 92点

サブスクリプションの基本「ストックビジネス」参入バイブル

 

中小企業の「ストックビジネス」参入バイブル

中小企業の「ストックビジネス」参入バイブル

 

 

【読むと得られること】外販可能な自社ノウハウの洗い出しと取るべき行動の指針がつかめる

【読むべき人】安定的に稼げる新規事業を立ち上げたい

 

疲弊していく従来型ビジネスモデル

私が以前の部署で担当していた情報機器代理店。複合機がメインの商材でしたが、製品はコモディティ化し、機能も価格も似たり寄ったり。期末になると営業マン達は既存の担当顧客をまわり、毎月のリース料を下げ、カウンター料金(コピー1枚あたりの単価)を下げ、頭を下げて売り歩きます。こりゃ業界的にも精神的にも消耗戦だなと日々感じていました。物の販売代理店とは、メーカーから仕入れてそれを売らないと売上が上がらない、典型的なフロービジネスだと思います。

一方でストックビジネスとは、ある資産やサービスを元に細く長く売上をあげ、それを積み上げて毎月のキャッシュフローを安定させるビジネスモデルといえます。小口分散投資のイメージでしょうか。不動産からの家賃収入が典型ですね。

 

中小企業がストックビジネスを確立するには

本書では、連続増収増益を続けている企業がストックビジネスを生業としていることから、リーマンショックなどの市場環境の急変にも強いビジネスモデルであることを説いています。では、具体的に中小企業がどのようにしてストックビジネスを立ち上げるのか。それをどうマネジメントしていくのか。一応教科書的に解説してありますが、もう少し具体例があれば親切かなと思いました。例えば、「不動産売買していたものを、賃貸にしてストックビジネスにしていけば良い」という部分。理論的にはそうなんでしょうけど、キャッシュフロー的には厳しいのは目に見えています。実際にすぐのビジネスモデルの転換は難しいでしょう。

サブスクリプションモデルは継続的なサービス提供が向いている形態なので、継続的に外販できる体系的なノウハウやサービスがあれば適しているんでしょうね。ホームページ運営、保守管理が典型でSNSの運営なんかも定額で提供できそうなサービスだと思います。当然、手間ひまのコスト人件費が定額料で賄えるか、解約率を何パーセントに設定して、何人の会員を獲得するのが損益分岐点か、これが最大のノウハウのような気がします。

さらっと書かれていたおもしろいだったのが、オリジナルサプリメントOEMで作って、自社サイトで継続購入の顧客を増やしてストック化していくというビジネス。調べてみると、サプリメントOEM製造委託は結構簡単にできるみたいです。しっかりとニッチなニーズを取り込んだサプリメントを作れば、十分に可能性のあるビジネスモデルだと思いました。

 

私が関わる金融業はストックビジネスなので、資産残高を積み上げていって、そこから発生する金利で食っているわけです。一方で小売店、卸会社は常に売り買いを流していかないと利益を生まないので、少しでも歯車が狂うと企業としてのバランスを崩しやすいという点で安定感に欠けるといえます。

このような各社のビジネスモデルや利益構造を考える機会として読むと、自社の仕事を見つめ直すきっかけとなるでしょう。ストックビジネス確立の重要性と、サブスクリプションモデルに参入する足掛かりとして読みやすい一冊です。

★★★★☆ 85点

「東大読書」で講師兼生徒をひとりでやってみた

 

「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書

「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書

 

【読むと得られること】能動的な読書法が身に付く

【読むべき人】読んだことが身に付いているかどうか不安な人

 

読者ではなく、記者になる能動的な読書

読書術というのは私が好きなテーマの本です。読書術の本を読むたびに、なるほど!という感触を得つつ、いつのまにか流し読みのようないつもの読書に戻ることを繰り返しています。これもまた真なりであり、読書は筋トレと同じで、一度読んで身につく方法論はその場限りのテクニックに過ぎないのかもしれません。

本書にも読書の効果を高める具体的な手法が紹介されています。それぞれの手法に対する理由付けがしっかりしていて、さすが東大生と思わせる構成。

特に意識面で有効だと思ったのは、能動的な読書という点です。本を読むというのは本来能動的な行為ですが、実体は文字を目で追って読んでいても、意識を通り抜けて読んだ気になっているケースが多いように思います。

能動的な読書の具体的な手法として、本との議論が挙げられています。これはセルフレクチャーともいえますが、この本を教科書として、講師と生徒をひとり二役やる方法です。メモを取らずに読書するのは、手ぶらで授業を受けるようなもの。

例えば明日この本をテーマにプレゼンをしてください、時間は30分です、と言われたら。多くの人はその本をひと通り読んだ上で、要点をまとめて他人にレクチャーするでしょう。当然受講生からの質疑応答もあり、それに備えて自分なりの答えを持っておく必要がありますよね。

それをイメージして一度試しにやってみると、要点を拾うとなると思ったより時間がかかるし、論理性のある説明をするためのまとめをしようとすると頭を使うので結構疲れます。感覚的には読書ではなく、読取、読習と思ったほうが近いです。

 

タイトルに東大が付くとついつい手に取ってしまうほど、私のなかで東大の権威は絶大です。やっていることは特殊ではないにしろ、やはり目の付け所が凡人とは違いますね。自分なりの体系的なルールを確立していくのが東大生というカテゴリーになれる人なんだと思います。

 

ノートや付箋を片手に、今すぐ始められる東大読書。特にビジネス書好きにはぜひ読んでもらいたい一冊です。

★★★★☆ 82点